ブラキシズム
最近読んだブラキシズムの本によると、因みにブラキシズムとは歯ぎしりや食いしばりのようなぐいぐいと必要以上に力を入れる行為の総称ですが、ストレスの発散行動の1つで日中のストレスをうまく解消できず内に溜めやすい人ほどブラキシズムが強くでるようです。何しろ未だ100%解明されていないので我々歯科医師も対症療法にて対処することも少なくありません。
強度に毎晩繰り返されるブラキシズムは歯を磨耗破折させ、歯周組織を破壊し、顎関節に負担をかけ顎関節症を引き起こします。日中の食いしばりのようなブラキシズムは意識下での行為のため本人が気付き、止める努力をすれば病的な状態は招きませんが、夜間就寝時におけるブラキシズムは自分で抑制することはなかなか難しく、(一応暗示療法というものがありますが…)マウスピースを使用し力の分散、歯や歯周組織、顎関節の保護を行います。
ただ、症状がでてからではまずいので、明らかにブラキシズムがある方にはマウスピースの使用をお勧めしているのですが、長い期間枕のように毎晩使用しなければならないのでご本人としては、面倒くさくなってしまい、使用しなくなり数年後に症状が発生し抜歯などに至ることも少なくありません。
もっとマウスピース自体の装着感がよく、違和感のないものがあれば多くの患者様に利用していただけるのですが、現状ではなかなか…因みに96%の方が多かれ少なかれブラキシズムを行うそうです。
最後に余談ではありますが、猿にストレスを与え続けると、ストレス元に対して噛み付き、凶暴性を発揮し、その原因を断ちきろうとするそうです。こうすることによりストレスを遮断し噛み付くことによりストレスの発散を行い均衡を保つわけですが、人としてストレス元に噛み付くわけにはいかないので、ブラキシズムとして均衡を保ちます。ストレスとは離れることが不可能な現代社会、今後自らの力で口腔を破壊する人々が増えていくような気がします。
- 作者: 牛島 隆,栃原 秀紀,永田 省蔵,山口 英司
- 出版社/メーカー: 医歯薬出版
- 発売日: 2008/07
- メディア: 大型本
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