基礎に帰って

　接着、物と物をくっつけることですが、我々歯科では毎日が接着の日々。歯と金属の冠を接着、プラスチックの詰め物を接着、白い被せ物を接着、土台を接着、矯正のブラケットを接着。この接着を末永く維持させなければ、詰めたものが外れた！ということになるので、いかに接着力をキープできるかが課題。
ところが接着を維持する上で口腔内は最悪の環境、湿潤していて、汚れていて、細菌が多く、毎日ブラシで擦られ、そして使わない日はない。ゆえに私たちは接着を維持するために様々なことを行っています。
まずは形態、被せ物や詰め物が物理的な維持力を発揮できるように削っており、ただし矯正のブラケットなど削らずに一部埋めたりくっつけたりする場合は別。
それから前処理、歯と何かを接着ですが、この何かによって前処理が異なり、様々な前処理剤があったりしますし、歯の表面の処理も重要、しかもこの処理剤や接着剤は歯や体に対して刺激があると問題なので、体に優しく且つ効果が高いこと。
そして接着剤の選択、前処理剤と同様に接着対象物が何なのかによって選択ですが、日々これら接着剤を考案している歯科関係会社が研究しよりよい商品を発売しております。

ざっとこんな感じですが、最近色々ありまして、考えているのはタンパク質の処理を徹底すること。被せ物など必ず口腔内で試適をしてからセットとなりますが、この際唾液や場合によっては血液が接着面に付着しセット前にきれいにしたつもりでも意外と目に見えないたんぱく質が残っており、こいつが接着阻害を招き脱離につながるため、ちょっと最近これにこだわって仕事してたりするわけです。

まぁ当たり前って言われるとそうなんですけど・・・ちょっとマニアックなお話でした。