日本の現状
今日届いた歯科雑誌をぱらぱらめくっていると、新春対談として、某政治家と超有名歯科医師の日本の歯科医療の現状と展望について掲載されていた。興味を引いたのは、予防とメンテナンスを重要視することにより、医療費の抑制につながるというもの。
日本の歯科医療において、健康保険適応になるのはあくまでも治療のみ、予防は適応外だ。歯周疾患におけるメンテナンスという項目はあるものの、しばりがきつく、素直にこのメンテナンスを実行している歯科医師は皆無。
しかしメンテナンスしないわけにはいかないため、自費で行ったり、サービスで行ったり、うまく保険の解釈を変えて行ったり・・・というのが現状。
疾患を予防し、病気にならないようにしようという考え方は残念ながら日本にはない。よって、国民にも予防を重視して、という思いが希薄で、その結果、来院される患者様というのは痛みを感じたり、不具合を感じて初めて来院されるのである。
確かに歯科医師サイドにも責任がないわけではないが、保険制度自体が出来高払いのため、どんなに詳しく説明し、状況をお話して、納得いただいたとしても、処置をしなければ1円にもならず、予防をして・・・なんていう考え方はまったくなかった。
上記の有名歯科医師は、予防の大家で、現在のような予防の重要性が騒がれるはるか前より、患者サイドにも歯科医師サイドにも啓蒙したそうだが、当時は変人扱いだったとのこと。
そういった流れが医療費を増大させ、政府はその医療費を抑制するため、保険点数を下げる、使用材料に制限をかける、という安易な政策にでている。使える素材に制限がかかり、今までよりも質が落ちたものや、保険では治療が出来なくなったものもあるのだ。
このような現状を変えていくために、異なった視点から、予防を重要視することにより、長期的な視野で疾病を減らし、結果的に医療費の抑制につながるという考え方なのだ。
既にスウェーデンではこの予防重視の計画が既に実行され、成功しつつあるとのこと。
日本もそろそろそういった考え方をする時期なのではないだろうか?